パタゴニア

中古で購入したモアザンエキスパートが、釣行中にバットから折れてしまいました。

バットとは、ロッドのグリップに近い太い部分。ここから折れたロッドを、自分で修理して再び使えるのか・・。

今回は、割れた部分を切除し、内側にカーボンの芯を入れて接着する修理に挑戦しました。さらに、同じロッドの折れた穂先も接合しています。

修理後は、ルアーを投げられるところまで確認できました。ただし、この記事で紹介する時点では、大きな魚とのやり取りはまだ試していません。

写真とともに修理の工程を紹介し、後半では中古ロッドの購入で感じたこともまとめます。

パタゴニア

今回の修理概要

バットが折れたモアザンエキスパートと接続用の芯材
項目 今回の内容
修理したロッド 中古で購入したモアザンエキスパート
修理した場所 バット部分と穂先部分
バットの修理方法 割れた部分を切除し、カーボンチューブラを芯にして接着
バットに使用した芯材 外径8mmのカーボンチューブラ〈中空材〉
穂先に使用した芯材 直径1mmのインロー芯を削って調整
接着剤 2液式エポキシ接着剤「ハイスーパー5」
主な工具 糸ノコ、400番・1500番の耐水ペーパー、内径測定用のノギス
修理後に確認できたこと ルアーの試し投げでは問題を感じなかった
まだ確認できていないこと 大きな魚とのやり取り、長期的な耐久性
元と変わったこと 切除した分だけ短くなり、穂先のガイド間隔も変わった

※芯材の寸法は、今回修理した箇所に合わせたものです。同じシリーズのロッドでも、モデルや破損位置によって必要な寸法は変わります。

材料|バット折れ修理に使ったもの

今回の修理では、折れた両側の内側に芯を差し込み、接着してつなぐ方法をとりました。

使用した主な材料・工具はこちらです。

材料・工具 用途
糸ノコ 割れている部分を切除する
400番の耐水ペーパー 切断面を整える
1500番の耐水ペーパー 切断面の仕上げに使用
ノギス 芯材を選ぶために折れ口の内径を測る
外径8mmのカーボンチューブラ バットの接続用の芯
直径1mmのインロー芯 穂先の接続用の芯
2液式エポキシ接着剤 芯材とロッドを接着する

芯材は太さだけで選ばない

今回、バットに使ったのは外径8mmのカーボンチューブラです。

ただし、「バットの内径が8mmだから、外径8mmならどれでも使える」というわけではありません。中空材の内径や肉厚、奥まで差し込んだときの収まりも確認する必要があります。

また、中が空洞のカーボンチューブラと、中まで詰まったカーボンソリッドは別の材料です。

購入時は、商品名だけでなく、外径・内径・構造・長さを確認してください。

切除・芯合わせ|割れた部分を取り除いて接合部を整える

割れている部分を糸ノコで切除する

まずは、折れた部分の両側に残っている割れを確認し、糸ノコで切除しました。

冒頭の写真で、折れたロッドの間に置いてあるのが、接続に使うインロー芯です。

割れた部分を取り除くので、その分だけロッドは短くなります。

なお、見える割れを取り除いただけで、周辺に損傷が残っていないと判断できるわけではありません。どこまで傷んでいるかわからない場合は、切る前に修理業者へ相談した方がよいと思います。

使った糸ノコでも切断はできましたが、切断中に表面のコーティングのようなものが少しめくれる場面がありました。

このあたりは、見た目をきれいに仕上げるうえでも気になったところです。

切断面を400番の耐水ペーパーで整える

切断面を耐水ペーパーで整える工程

切除した断面は、400番の耐水ペーパーで整えていきます。

平らな机などに耐水ペーパーを置き、断面を当てて、円を描くように少しずつ削りました。

イメージとしては、大根をおろすように擦っていく感じです。

断面を整えた後は、1500番の耐水ペーパーで仕上げました。これは今回行った工程であり、接着面の処理は使用する接着剤の説明に合わせて確認してください。

内径を測り、芯材を合わせる

芯材を購入する前に、接合する両側の内径を確認します。

以前は「定規で目視でも」と書いていましたが、芯材選びでは小さな寸法差が収まりに影響します。定規だけでは判断しづらいので、ノギスで確認したいところです。

さらに、ロッドの内側は奥に向かって太さが変わります。折れ口に入ることと、必要な深さまで無理なく入ることは別です。

今回のモアザンエキスパートでは、外径8mmのカーボンチューブラを使いました。

接着前に両側への入り方を確認し、無理に押し込まなければ入らない状態や、大きな隙間が残る状態のまま進めないことが大切です。

接着|2液式エポキシでバットをつなぐ

今回も、接着には2液式エポキシ接着剤「ハイスーパー5」を使いました。

基本的な流れは、接着面の汚れや削り粉を取り除き、乾燥させたうえで、混ぜた接着剤を塗って芯材とロッドを接合する方法です。

接着する際は、両側のガイドの向きや接合部のずれも確認します。

「5分硬化型」でも、5分後に使えるわけではない

ハイスーパー5は、23℃で混合してから約5分後に硬化が始まる接着剤です。

「5分」は、修理したロッドを釣りに使えるまでの時間ではありません。

メーカーの製品情報と技術資料では、次の目安が示されています。

区分 メーカー記載の目安
混合後の作業時間〈可使時間〉 5分以内
硬化開始 混合から約5分後〈23℃〉
実用硬化時間 約1時間
標準硬化条件 23℃で24時間

出典:セメダイン「ハイスーパー5」製品情報、セメダイン「2液型エポキシ系接着剤」技術資料

混合後は作業できる時間が短いため、芯合わせや向きの確認は、接着剤を混ぜる前に済ませておく必要があります。

接着の詳しい作業は、ラテオFJの修理記事にも掲載

芯を削って合わせる作業や接着時の様子は、前回のラテオFJの修理記事にも写真付きでまとめています。

折れたロッドを自分で修理|ラテオFJの修理費用・手順と、その後の実釣結果

こちらでは修理後に魚を釣った結果も紹介していますが、別のロッド・別の破損箇所での実例です。

仕上げ|接合部の表面を整える

モアザンエキスパートのバット接合部。画像左側が今回修理した部分

上の写真の左側が、今回接合した部分です。

表面の仕上げはまだ2回目でしたが、前回よりはだいぶ見た目を整えられました。

当時は、接着剤に付属していたヘラを一定の位置に構え、ロッドを手でくるくる回しながら表面をならしました。

前回のラテオFJでは厚く塗りすぎてしまったので、そのときよりはうまくできた感覚です。

ただし、これは当時の作業記録です。メーカーはハイスーパー5を接着用途以外に使わないよう案内しているため、表面のコーティングには、用途に合った仕上げ材を選んでください。 メーカーの注意事項

穂先折れ修理|直径1mmの芯で接合する

実は、このモアザンエキスパート。

バットだけでなく、穂先も折れてしまっていました。

そこで今回は、穂先の接合にも挑戦しました。

穂先を詰める方法ではなく、接合を試した理由

穂先折れの修理には、折れた分だけ長さを詰めてトップガイドを取り付ける方法もあります。

ただ、私は穂先を詰めたときの使用感の変化が気になっていました。できれば残っている穂先とAGSトップガイドを活かしたかったこともあり、接合する方法を試すことにしました。

もちろん、接合すれば元どおりになるわけではありません。芯や接着剤が加わり、割れた部分も切除するので、長さや曲がり方は変わります。

トップガイド側に合わせて芯を削る

穂先の接合に使用する直径1mmのインロー芯

今回は、直径1mmのインロー芯を購入し、接合に使いました。

太い側の折れ口には収まりましたが、トップガイド側はさらに細くなっています。

その内径に合うよう、耐水ペーパーで少しずつ芯を削っていく作業が大変でした。

接合後は、トップガイドと2番ガイドの間が短くなった

接合修理後の穂先とトップガイド

割れた部分を切って断面を整えた分、トップガイドと2番ガイドの間は短くなりました。

見た目にも、元と全く同じ状態ではありません。

それでも、残った穂先とトップガイドを活かし、再びつなぐことはできました。

当時の感触では、穂先の調子も悪くない印象でした。ただ、芯がきれいに入ったことだけで、元の強度やしなやかさに戻ったとは判断できません。

修理後の結果|試し投げはできたが、大物とのやり取りは未確認

バットと穂先を修理したモアザンエキスパート

修理したモアザンエキスパートを持って、ルアーを投げに行ってきました。

その試し投げでは、特に問題を感じずキャストできました。

ただし、ここで確認できたのは、あくまで試し投げの範囲です。

確認したこと 結果
修理後のルアーのキャスト 実施。試した範囲では問題を感じなかった
穂先の使用感 個人的には悪くない印象だった
大きなタマンとのやり取り この記録の時点では未確認
長期間使った場合の耐久性 この記録の時点では未確認

当時は、ウェーディングの時期になったら、またこのロッドでタマンを狙いたいと思っていました。

ただ、ルアーを投げられたことと、大きな魚に耐えられることは別です。 今回の記事では、試し投げまでの修理記録として紹介します。

反省点|修理できた部分と、元に戻らなかった部分

今回の修理では、折れたバットと穂先をつなぎ直し、再びルアーを投げるところまで進められました。

一方で、元の状態から変わった部分や、確認できていないこともあります。

  • 割れた部分を切除したので、全長は短くなった。
  • 穂先のトップガイドと2番ガイドの間隔が変わった。
  • 芯材と接着剤を加えており、元の曲がり方とは異なる可能性がある。
  • 魚とのやり取りや長期使用による耐久性は確認できていない。

また、修理費用の合計、芯材の差し込み長さ、切除した長さを記録していなかった点も反省です。

これから同じような修理を記録するなら、作業前後の寸法と使った材料の仕様まで残しておくと、後から比較しやすいと感じました。

中古ロッド購入の経緯|急いで選んで後悔したこと

今回、自分で修理することになったきっかけは、中古ロッドの購入でした。

直前に使っていたモアザン93MLが、タマンの撮影中、魚に暴れられて折れてしまったのです。

撮影時のトラブルで折れてしまった、それまで使用していたロッド

次の釣行に間に合わせたくて、代わりになるロッドを急いで探していました。

そこでオークションサイトで見つけたのが、今回のモアザンエキスパートです。

「状態は良い方」という説明と、届いた印象が違った

落札金額は、中古としては高めでした。

出品者の説明には「状態は良い方だと思う」とあったのですが、実物を見ると、私の想定よりかなり使い込まれている印象。

結構ガックリきましたが、使用に問題がなければ・・と思い、そのままタマン釣行へ持っていきました。

水草に掛かったルアーを回収しようとして、バットが折れた

その日はタマンには出会えず、帰り道で投げていたところ、ルアーが水草に掛かりました。

そのままロッドを曲げて回収しようとすると・・。

バットから折れてしまいました。

自分の感覚では、それほど強く力を掛けたつもりはなかったため、かなり驚きました。

当時は「購入前から傷んでいたのでは」と疑いましたが、購入時点での内部の状態は確認できていません。回収時の曲げ方や負荷の影響も切り分けられないため、原因は断定できません。

今回の経験では、中古品の状態確認に加え、引っ掛かったルアーをロッドの曲がりで無理に回収しようとした点も、振り返る必要があると感じています。

次に中古ロッドを買うなら確認したいこと

以前は、個人出品で新品に近いモアザンAGS93MLを、約2万5千円と送料で購入できたこともありました。

ただ、そのときに良い買い物ができたからといって、個人出品なら安心とは限りません。同じように、業者だから状態が悪いとも言えません。

今回の経験を踏まえると、出品者の属性よりも、次の情報を確認したいと思います。

  • バット・継ぎ目・穂先・ガイド周辺の鮮明な写真。
  • 使用期間や使用頻度、どのような釣りに使っていたか。
  • 折れ、補修、穂先詰め、ガイド交換の有無。
  • 傷やひびについて、具体的な説明があるか。
  • 到着時に説明と異なる状態だった場合の対応。

「状態は良い」という一言だけで判断せず、気になるところは落札前に質問する。

そして何より、次の釣行に間に合わせたいからと焦って買わないことですね・・。

沖縄からの修理依頼は、往復送料も含めて考える

自分で修理してみようと思った背景には、送料の負担もありました。

当時検討していた条件では、沖縄からの発送が片道約7,000円、往復で約14,000円。穂先の接合修理は修理代約9,000円を想定していたため、合わせると約23,000円になる計算でした。

修理代そのものが高いとは感じなかったのですが、往復送料がそれを上回ってしまうと、やはり悩みます。

また、当時はAmazonで10フィートを超えるロッドを、送料無料の条件で購入できたこともありました。

ただし、送料は販売者や商品、配送条件によって異なります。新品購入、中古購入、修理依頼を比べるときは、商品代や修理代だけでなく、送料を含めた総額で考えたいところです。

今回使用・検討した工具と材料

以下は当時の記事で紹介していた商品です。現在の販売状況や仕様、選択されているサイズは、購入前に確認してください。

糸ノコ

プロメイト 糸鋸デラックス 焼入刃付 No.7260。

割れた部分の切除に使った工具です。

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精密糸ノコ

BIGMAN 精密糸鋸 替刃5本付 IN-010。

切断面の仕上がりが気になり、当時、別の候補として紹介したものです。今回使用した工具との比較検証はしていません。

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耐水ペーパー

BIGMAN 耐水ペーパーミニセット。400番・1000番・1500番、各6枚入り。

今回の工程では、400番と1500番を使用しました。

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ノギス

デジタルノギス、測定範囲0〜150mm。

折れ口の内径などを確認するための道具です。購入時は、内径測定への対応や精度も確認してください。

商品詳細を見る

バット用のカーボンチューブラ

今回の記録では、外径4.5〜8mmの「印籠継用芯」のうち、外径8mmを使用しました。

芯材はロッドのモデル名だけで選ばず、実際の破損箇所の寸法や、両側への収まりを確認する必要があります。

エポキシ接着剤

ハイスーパー5 80gセット。

今回、接着に使用した2液式エポキシ接着剤です。接着対象や用途への適合性は、メーカーの説明を確認してください。

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